エリシオンに咲く花
そこは
西から風が吹くという
きっと
私達がいつか
居た
あの場所と同じように
西日が胸を締め付ける
場所なのでしょうね
覚えてる?
あの場所に見られる
西日って
あからさまに
影を映し出すの
私達の影よ
存在する証拠の様に現わされる
あの
影の事よ
忘れちゃった?
ほら
足元にしっかりと
くっついているものだから
足を振ったって
振りほどけなかったじゃない
走ったって
どこまでもついてくる
だから
置いていくなんてこと
出来やしなかったじゃない
ずっと
前のこと
私達が
まだ
肉体を持っていた時の事
覚えてない?
肉体
ちゃんと
もっていたわよ
不思議ね
全くもって不思議
こうやって
見えない世界に戻ってしまうと
見える世界に在った
感覚を
忘れてしまう
持っていたはずの
感覚も
感情もなくなっちゃう
見える世界に存在していた
私を
忘れてしまいそうになる
でも
そういうものなのよね
私達が
見える世界に在った時
見えない世界のことなんて
すっかり
忘れていたものね
見える世界に生きる事
それだけが
当然とする
生き方だったものね
まだ
少しばかりは
覚えている
あの頃の
あの感じ
誰か覚えていないかしら
肉体を持っている今
見えない世界のこと
影を引き連れている
今
誰か思い出しやしないかしら
見えない世界が在ってこそ
存在できるのが
見える世界だって
西日が映し出す
足元の影が
今
現世を生きる肉体に
思い出させやしないかしら
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